第5回:さちと睦眼さんと七詞
七詞:
こんにちは! 今日も虚無虚無! 七詞でーす!
今日はぼくの語りから始めようかなー。
この物語はね、うーん、殆ど作者の体験談なんだよ。
勿論、この物語があるってことは死んでないってことなんだけれど。
だから、さちを救ってくれる人は、救われなかった作者を救ってくれる人。
思った以上にみんなさちを救ってくれて、作者は泣くほど嬉しかったみたい。
そんな人たちと、さちと同じ頃に出会っていれば、だいぶ違ったんだろうなぁ。
七詞:
おっとおっと! そーだねー!
んと、今日のコラムはさちと睦眼さんとぼくの関係? をお話しようかなって。
七詞:
そうだねぇ。
んじゃあ、それ以外の話とか。
睦眼:
兄弟構成とかか。
さちには弟が一人いる。弟との仲は良好だ。
七詞:
ていうか、基本的には表面上は家族仲はいいよね。少なくとも外から見る分には。
睦眼:
ふむ…。
…七詞はさちの父親に会ったことはあるか?
七詞:
学校でいじめられて家で虐待されてちゃ、どこにも居場所がないね!
逆にそうすると中学卒業まで生きていたのがすごいって思っちゃうかも。
睦眼:
それほど、自殺は高いハードルなのだ。
それを乗り越えたさちは、やはり愛しい。
七詞:
睦眼さんはすぐ惚気るんだからー!
と、まぁそうすると、さちは確かに幸福からは程遠い人間だね。
ま、ぬいぐるみに何が解るんだって云われたらそうだけどさ。
睦眼:
幸福は、人それぞれだ。
私が伍眼の時、さちはひたすら幸福そうだったが、幸福だと思い込みたい心理だったのかもな。事実、おそらく幸福だと思い込んでいた。
七詞:
そういえば「楽しいふりをした方が楽しい」ってさちが云ってた気がするなぁ。
睦眼:
「楽しくなる努力もせずに楽しそうにしている他人を攻撃する人は愚かだ」とも。
七詞:
さちは、ただ楽しい状態だったり、幸福ーーというよりも「不幸じゃない」状態になることすら、難しかったんだね。だからせめてそう見えるように努力をしていた。
睦眼:
もしかしたら、それがいじめの原因と加速させた理由だったのかもな。
「なんでこんなに虐められているのに楽しそうにしているの?」
七詞:
うーーーん、確かに、そう云う人間を見たことはあるかな…。残念だけど。
虚無なぼくでも解るけれど、逆にそう云う人間も、何かさちみたいな哀しさを持っているのかもね。
七詞:
もー! 睦眼さんにそう云われたらすっごい嬉しいじゃーん!
ぼくはね、睦眼さんのそう云うところが好きだよ。多分さちもそうなんだと思うけれど、睦眼さんって絶対に肯定してくれるじゃん。
七詞:
多分それが一番さちの救いだったんじゃないかなー。
睦眼:
確かに、さちは誰にも肯定されることがなかった。
無もしくは否定。
七詞:
さちは、だから自分の評価に敏感だよねぇ。
否定されることっていうよりも少しでもマイナスにブレた評価で刃物で刺されたように傷つく。
睦眼:
そうなってしまったこと自体が悲しい事象だな。
七詞:
そうだねー。
と、そろそろ第五回コラムも終わりに近づいてきちゃった。
結局ぼくら3人?匹?の関係性っていうよりも、ぼくらでさちのことを語っただけになっちゃったね。
睦眼:
そうだな。
結局我らはさちの世界の住人。
さちの世界はさちの内側であり、さちはその外側にある。
睦眼:
そもそも、この物語は歪の後継物語だからね。
七詞:
そうだった。
と、キリは微妙だけど、そろそろお時間なので!
次が最終回だよ! ありがとうねー!