第0回:ご挨拶
猫:
よぉう。このコラムは数学の話はあんまり出ない、ホントにぼくとアオやハルが雑談するだけのものだ。
ついでにいえば、コラムにはネタバレあり、メタ発言あり、もしかしたらキャラクターイメージも変わるかもしれない。
勿論、このコラムだけを楽しんでもらうのも構わない。
それでもよければ是非、こちらの世界も堪能してくれるとありがたい。
猫:
おぅ、アオ。まぁこのコラムのためにここにきたぜぇ。
お前の写像は来てないのか?
アオ:
春原ハルか? あいつは、猫に憧れているからな…、多分、きたらうるさいぞ。
猫:
はは、それはそれで面白そうだ。
まぁ、いずれ会うだろう。
アオ:
そういえば、なんでこんなコラムをこんな時期に公開しているんだ?
猫:
あぁ、それはな、「歪」「睦眼さん」をプレイしてくれた方がこのコラムまで見てくれていてね…。作者は自己満足だと思ってそれ以外のコラムを公開していなかったんだが、触発されてこの物語もコラムを作ったそうだよ。
アオ:
まぁ、単純だがそう云うものだな。
誰かに認められないとモノは存在し得ない。
猫:
さて、まぁこのコラムの立ち位置はそんな感じだが、折角だからメタメタな話をしようぜ。
アオ:
作者が色々なところで語ってはいたな。
作者は私と同じように、小学生の頃算数が全然できなかったそうだ。某学習塾で小学4年の時に小学2年の教材をやっていたくらい。
その後、「わからない」を「覚える」ことにして進んだが、大学で数学を学んだ時に小学生の頃の疑問が解けたそうだ。その時の感動から、この物語は生まれたらしい。
猫:
そして、塾講師のアルバイトをしていた時に、数学が苦手な子供たちが多かったこと。同じようにつまずいていたこと。数学を嫌いになって欲しくないこと。諦めないで欲しいこと。
それらのたくさんの思いが詰まった作品だ。
だってほら、数学学んだら魔法使えるってなったらもっと一所懸命数学やらねぇ? って感じだな。
アオ:
実際、数学を学んだら空飛べるならもっと真剣に数学に取り組む人は多いと思うんだよな。
猫:
ぼくもそう思う。
ちなみに、この物語では魔術師以外の人間も多く、複素空間は理解できない人が多数ーーと云う設定だ。
だから、複素空間に飛ばされた人々は法則が理解できなくて死ぬ。
アオ:
法則って云うのは、詰まり息をするとかそう云うレベルってことだよな?
猫:
それもそうだが、うーん、実空間では、縦、横、奥行きの3次元だ。だが、複素空間はそうですらない。と云うことは、自分の存在すら理解できないんだ。
アオの云うような「生きる方法がわからない」と云うより、「自分が何かわからない」から発狂死って感じかな。
アオ:
なるほど。
そうしたら、なぜ私は猫のレッスンを受けている間自我を保っていられたんだ?
猫:
それは、ぼくがアオの意識を常に変換し続けていたからだ。
多分、アオでも理解できないと思うぜ、まだ。
アオ:
意識に対して魔術をかけている、と云うことか?
アオ:
やはり理解は難しいな。それが数学の面白いところでもあるのだが。
そういえば、SNSで数学が好きかどうかのアンケートを取らせて貰ったな。それを猫がレッスンで語ってくれた訳だが。
猫:
あぁ、「苦手だけどすき」が思ったより多くて嬉しかったよ…。
だってぼくらは孤独だから。
アオ:
まぁ、確かに国語や地理などとは違って算数はなかなか生活に密着しない学問だ。それらを専門に扱う我々は、確かに異質だろうな。
猫:
ぼくは個人的に、やっぱり「覚える」「トライアンドエラー」で数学を教えるのが間違ってると思うんだよなぁ。
小中高と、問題を繰り返し解いて、その解き方のパターンを全て暗記するーーそんな教育の仕方じゃないか?
アオ:
ふむ。確かに。そうすると、「意味のないことを沢山覚える」と云うことになるわけか。
猫:
そうそう。
それでも、「苦手だがすき」な人は数学の美しさの片鱗は感じてくれていたんだな…。
うーん、やっぱりぼくは教育方法に問題があると思うんだが。
アオ:
そういえば、英語の教師も同じようなことを云っていたな。学ぶ順番が違うと。
アオ:
あぁ。言語は、聞く・話す・書くの順で覚えるのが通常だが、日本の教育は書く・聞く・話すで学ばせるから身につかない、と。
猫:
どの教科も問題を抱えてるってわけか。
おや、さて、コラムの時間もそろそろ終わる時間のようだ。