第4回:歪む歪み
語り部:
第0回でも語ったが、現実で、すべての始まりの物語歪む歪み。
やっと、嘘と匣を呼ぼう。
語り部:
こんにちは。
さて、二人は「絶対幸福論」を唱えて世界に存在しているんだよね。
嘘:
この物語は、終わったあとの物語。
セピアが幸せではなくなった物語。
幸せを取り戻すーーつまり俺と理が出会って、もう一度尻尾が繋がれば幸福は戻ってくるーーと信じている。
匣:
幸せを失くした世界で、幸せを感じていたら、その幸せが去った時にはもう二度と手に入らない。だったらーー。
幸せだと思っているうちに死ねば不幸にはならない。「一生幸せに暮らしました」。
嘘:
この物語は幸福を求める物語。
「止まない雨はない」と云う言葉があるが、幸せだっていつかはなくなる。
だから、手に入れたらそこで「死」を以って止める。
それが幸せを失ったセピアの物語の中で俺たちが「幸せ」を求めた結果だった。
匣:
セピアは、お花さんと別れてしまった。別れなければならなかった。
それを体験した時、彼女が考えたのは「幸せがなくなるくらいなら幸せを感じた時に死んだ方がいい」と云う事。
だからセピアはセピアの中の愛しい登場人物たちには「幸せを感じたら死んだ方がいい」と考えた。
それが俺たちなんだ。
嘘:
そうみたいだな。
だから、その後の歪シリーズは「幸せ」をテーマに一人の人間の内面を描くストーリーになっている。
霧:
どこにいるのかな?ぼく、セピアとはぐれちゃって、それでここにいるの。
霧:
もちろん!飼い主と一緒にいたくない猫なんていないよ!
あ、でも嘘と匣はずっと野良なんだよね。
嘘:
野良、と云えば野良かな。
霧は俺たちと一緒にいるのはイヤか?
霧:
イヤじゃないよ。でも、セピアにもう一回会いたいな…。
匣:
ここはセピアの世界だからな。皆セピアを愛しているし、自分を愛さない人間なんていないだろう。
嘘:
そうだな。
そもそも、親はお花さんを愛したセピアを「否定」した。
セピアは一番身近な他人に「否定」されて生きる必要があった。
「否定」されて生きる事は辛い。だから自ら自分を「肯定」するしかなかった。
それが俺たちだ。
匣:
大丈夫だよ、お前は何も考えずにセピアを好きでいればいいんだ。