”わたし”は夏休みの間、おじいちゃんのお家に来ている。
おじいちゃんのお家に行くと、二尾の狐のコンが話し相手になってくれる。
ある時、裏庭に居る三尾の狐さんに名前を付けて欲しいと云われて付けてあげると、そのお礼にと狐のお祭りに連れて行って貰った。
そこから、わたしが名前を付けてあげると庭に広まったみたい。
松さん、水仙さん、鈴蘭さん、鈴虫さんーー。みんな、大好き! ずっとこのままで居たいなぁ。
世界観
昭和後期の自然豊かな田舎町。
夏休みの間、主人公のコウコはおじいちゃんのお家で過ごすことになった。
おじいちゃんとお家に行くとコウコは、神様、精霊、幽霊などこの世ではないものが見えるのだった。
お稲荷様
おじいちゃんのお家の裏庭には、お稲荷さんが祀られている。
そのお稲荷さんたちは、昔からコウコのことを慈しんでおり、コウコも隣人のように接している。
二人のお稲荷様は、見た目は同じだけれど個性があり、コウコは二人とも大好きだ。
ある時、彼らに名前を付けたお礼に、狐の参列に招かれる。
二尾の狐
コウコの一番の話し相手は、お庭にふらりと現れる野良の二尾の狐のコンだ。
彼は勿論この世のものではないが、尾が二つあることからも解る通り、ある程度の神格を持つ。
しかし、狐の参列には自ら参加しない。その理由とは、彼の師匠である九尾の狐が追放されたからだという。
だが、その想いを持って存在している本人は、至って能天気な狐である。
おきぬさん(幽霊)
コウコの家の物置と化した一室に棲む幽霊。コウコは氏神様と呼ぶが、本人は「そんな大層なモンじゃあ、ないさ」と云う。
実際はコウコの遠い親戚。早くに亡くなった為、見た目は若い。
家の中の失せ物などは、彼女に聞くと大抵どこにあるか解る。
生前はおじいちゃんのお家に棲んでいたので、庭の精霊たちとは旧知の中。
お庭の精霊たち
100年続いていると云うおじいちゃんのお家の最初から居たと云う松さん。
松さんの足元に生える水仙さん。その他にも、鈴蘭さん、寒椿さん、蜜柑さん…。
お庭には沢山の精霊たちがいる。
ある時、水仙さんに「大切な人に渡すお花」を一緒に取りに行ってほしいと云われ、家の本棚の隙間から、
大地たる「お花たちのお母さん」の中に潜り込む。
鈴虫さん
虫の精霊たる鈴虫さんは、おきぬさんととても仲が良いらしい。
お盆の時、おきぬさんが「自分の御神体はもうないから、いつか消えるかも」と云ったことを皮切りに
コウコは黄泉平坂にあると云われるおきぬさんの御神体を探しに行く。
その道案内人として、鈴虫さんが名乗り出てくれたのだ。
彼は舞を得意とし、りぃんりぃんと美しい音を奏る。